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東洋紡と東北大、「誘導材」18年度販売計画 歯の骨再生タッグ インプラント困難患者に光

[2016.08.25]

東洋紡は東北大と共同で、骨の欠損部に埋め込むだけで新しい骨が再生する「骨再生誘導材」の治験を、歯科・口腔(こうくう)外科の分野で進めている。医薬品医療機器総合機構(PMDA)の承認を経て、2018年度を目標に販売を開始する計画だ。病気やけが、老化などで歯を支える骨(歯槽骨)が欠けてしまい、歯のインプラント治療を受けるのが難しかった患者にとって朗報となる。スポンジ状の骨再生誘導材の主な成分は、リン酸オクタカルシウムと医療用コラーゲン。骨を作る骨芽細胞を活性化させる働きがあり、欠損部に埋めてやれば6カ月程度で新しい骨ができる。最大の特徴は、成分のリン酸オクタカルシウムとコラーゲンが体内で分解・吸収されること。異物として体内に残らないため、感染症を起こす心配が少なく、骨が成長しても隙間(すきま)が生じない。これまでは歯槽骨が薄かったり、欠けていたりすると、歯のインプラント治療の際に骨の再建が必要で、あごなどの骨を移植する「自家骨移植」が一般的だった。骨再生誘導材を使えば手術は不要になる。元々、東北大が開発を進めてきた技術で、製品化をにらんで13年4月に東洋紡がパートナーに加わった。

医療製品は、有効性や品質、安全性の十分な担保が求められるため、技術開発と製品化の間には大きな壁がある。同社医療機器開発センターの梶井文彦さん(32)は「完全に同じものを作る必要があり、滅菌技術も欠かせない。薬剤を長期保存しても品質が落ちないようにするにもノウハウがいる。これを14年春の治験開始までの約1年間で確立できた」と胸を張る。メディカル事業推進部の田中秀典さん(46)も「同じコラーゲンを主成分とし、神経の再生を促すチューブ『ナーブリッジ』の製造・販売の経験や、包装フィルム製造で培った技術など、総合力が生きた」と喜ぶ。

2016年8月25日 毎日新聞より

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