歯によい食べ物
牛乳に歯を硬くする物質
牛乳は体によい食物の一つとしてよく挙げられますが歯にはどうなのでしょうか。実は牛乳には甘くない糖分、乳糖が含まれます。乳糖はショ糖ほどではありませんが、むし歯菌が酸をつくる材料になるといわれており、むし歯になりやすい口腔(こうくう)環境の人は歯が溶解する場合もあり得ると指摘されることもあります。その一方で、牛乳には歯を硬くする物質の「カゼイン」が含まれます。カゼインは、歯を再石灰化させる唾液ミネラルを沈殿させずに高濃度で吸収されやすい状態にします。結果的にエナメル質が固まりやすくなります。カゼインは乳製品などに入っていますが、特にプロセスチーズなどは糖分(乳糖)が発酵によってなくなり、一方カゼインは残留するため歯にはよいといえます。カゼインの歯を固める能力をさらに向上させた「CPP―ACP」という物質を配合したガムなども商品化されています。しかしこれらの食品は歯の石灰化能力を手伝うだけであり、口腔内においてむし歯菌の歯を溶かす能力があまりに上回る場合には、それだけでむし歯予防の効果が期待できるわけではありません。使用に際しては、むし歯菌の強さとそれに対抗する唾液の歯を固める能力とのバランスを理解したうえで取り入れるべきだと思われます。
2016年10月10日 福島民友より