糖尿病と歯周病、予防・治療に内科、歯科医が連携へ/横浜
横浜市歯科医師会と横浜内科学会は4月から、糖尿病と歯周病の患者を連携して治療する取り組みを始める。糖尿病と歯周病は悪影響を及ぼし合う関係にあることから、地域医療を担う診療所やクリニックの内科医と歯科医が、効果的な相互治療のために患者データを共有。発症予備軍の患者の紹介もスムーズに行い、病気の早期治療や予防にもつなげていく。大都市全域でのこうした取り組みは珍しく、モデルケースとしても注目されている。
横浜市内で開業している歯科医・内科医らでつくる横浜市歯科医師会と横浜内科学会は、診療情報を提供する統一書式を作成。疾患の状態や処方している薬、検査数値などのデータを共有できるようにする。患者は、連携医療機関での治療状況を詳細に把握した内科医・歯科医双方から、治療を受けられるようになる。
糖尿病が悪化すると、目や腎臓、神経などに合併症が起きる可能性がある。増加する糖尿病患者の治療が進むことで、医療費全体の抑制効果も期待できる。
糖尿病患者への歯のブラッシング指導や、歯周病患者に糖尿病を防ぐ食生活に関する効果的なアドバイスが行われることで、治療だけではなく予防にもつながると期待される。
連携に加わるには、内科・歯科医とも最新の治療や専門用語について学ぶ研修会に参加し、参加登録をする必要がある。データ管理やデータ蓄積などは横浜市歯科医師会の歯科医療連携室が担当する。
横浜市歯科医師会の藤井達士会長は「歯周病は自覚症状が出るまで時間がかかる特徴があり、歯を失う原因となる。糖尿病と診断されたら、歯科も受診してほしい」と力を込める。横浜内科学会の宮川政昭会長は「糖尿病だけではなく歯周病も予防・治療することで、合併症が次々と起こる糖尿病患者の“悪循環の輪”を断ち切りたい」と話している。
◆糖尿病と歯周病
糖尿病は血液に含まれる糖分の濃度が異常に上がる病気。糖尿病網膜症(失明)、糖尿病腎症(腎不全・人工透析)、糖尿病神経障害(下肢切断)、細血管障害(歩行障害・下肢切断)、大血管障害(心筋梗塞・脳卒中)という合併症が起きる可能性がある。歯周病はこれらに次ぐ“第6の合併症”とされている。
2013年2月24日 カナコロより