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キヨスクで縦に置かれても、一目でわかるマークにしました -ロッテ キシリトールガム

[2015.05.05]

ガムの概念をひっくり返す「甘いけど歯にいい」甘味料――。ロッテからデザイン依頼を受け、キシリトールガムの説明を聞いたとき、歯の健康をイメージさせる「デンタル」というコンセプトを瞬時に思いつきました。商品の中身とともに、画期的なデザインで新たなチューインガムのスタンダードを築き上げようと考えたのです。
「デンタル」という視点からパッケージの色を考えたとき、お菓子などに使う赤やオレンジなどの暖色系は「甘い」印象を与えるので真っ先に除外しました。反対の寒色系で候補を探ると、行き着いたのが誰もが知る「青」と「緑」。青は空や海をイメージさせる一方で、緑はキシリトールが植物の白樺の樹液などからとれることに直結する。ただ単なる緑だとおとなしい。こうしてたどり着いたのが、ピカピカに光らせた緑。これは表面に透明のフィルム、真ん中にアルミ箔、内側に紙という3層でできた包装紙から、真ん中のアルミ箔の光を利用したものでした。
マークを作ったのは、粒タイプやタブレットなどいろいろな種類が店頭で離ればなれに置かれても、ひと目で「キシリトール」とわかるようにするためです。デザインをするうえで手がかりにしたのは歯医者の看板。奥歯を横から見たマークが使われていることがほとんどなのですが、歯科治療においての痛さと、食べるという行為は正反対です。そこで思いついたのが、真上から奥歯を見てあげるということ。これなら、ひと目見ただけでは奥歯だとわからずに、マークとしては機能する。それに90度回転させてみても同じ形に見える。駅構内の「キヨスク」などで縦に置かれて一部分しか見えなくても、ひと目でわかるものになると考えました。
マークを縁取る色には、パッケージで使えなかった青を使いました。白の上に青を重ねてソリッドな質感にすることで、マーク全体を目立たせています。マークの真ん中の星形部分も同じく青にしようと最初考えましたが、それだとおとなしすぎて目立たないし、どうしても歯みがき粉っぽくなってしまう。だから、お菓子らしさを表すために赤を使いました。暖色が入ることで寒色も引き立ち、華やかな印象も生まれました。
では、青の外側を縁取るシルバーのラインは何か。これは、緑と青という近い色を隣り合わせにせず、それぞれの色味を保たせるための工夫です。また、印刷でわずかなズレが生じたときに、青の下に敷かれた白がはみ出さないようにシルバーのスペースが役割を果たしています。
ロゴのデザインで心がけたのは「XYLITOL」という文字をいかにクリアに見せるか。「X」と「Y」を見ると、2つの英字はくっついていることがわかります。英字の字間をすべて均等にすると、右側が空いたXと左側が空いたYの間隔は実際よりも大きく見えてしまうからです。文字の間隔一つとっても、手に取る人に違和感を与えるデザインでは、ロングセラーにはなりません。

2015年5月5日 プレジデントより

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