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歯や皮膚、毛などの形成 一つの遺伝子が関与

[2014.11.25]

東北大大学院歯学研究科の中村卓史准教授(再生医療)、福本敏教授(小児歯科)らの研究グループは、歯、皮膚、毛など「上皮系器官」の細胞の増殖や分化に同じ遺伝子が関わっていることを突き止めた。形や大きさの制御が難しかった歯や皮膚の再生医療に道を開くとともに、がんの診断や治療への応用が期待されるという。研究グループは、歯などの形成に関わる遺伝子「エピプロフィン」を欠損させたマウスやヒトの細胞を用い、上皮系器官ができる過程を調べた。歯や皮膚の元となる組織幹細胞は分裂して前駆細胞になり、増殖、各器官への分化、増殖停止へと段階が進む。これまで増殖、分化、増殖停止は別々の現象と考えられていたが、いずれの段階でもエピプロフィンが、作用する分子を変えながら働いていることが分かった。組織幹細胞はあらゆる細胞を作りだす万能性を持っており、再生医療への応用が注目されている。エピプロフィンが分化を制御していることが明らかになったことで、正常な歯や皮膚の再生が可能になる。異常な細胞が増え続けるがんの悪性度診断や、遺伝子治療にも応用できるとみられている。中村准教授は「一つの遺伝子がオーケストラを指揮するように細胞の運命を決定付け、増殖、分化、増殖停止の全ての機能を有していた。腎臓や肺の再生にも応用できる技術だ」と話す。

河北新報 2014年11月25日より

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