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科学的に証明されていない? 歯と歯の間をお掃除するデンタルフロス、本当にやる意味はあるのか

[2016.08.15]

日本は糸ようじ派が多いですよね
歯と歯の間をすっきり掃除して、歯の健康を守ってくれるフロス。アメリカでは子供のころからフロスをしなさい!と散々指導されるようです。しかし、APの調査によると、デンタルフロスのメリットは科学的に十分証明されていないのだそう。アメリカでは1979年から政府によって一日一回のフロスが奨励されてきました。このガイドラインでは科学的なリサーチにもとづき、5年ごとに項目の見直しを行なうことになっています。APは昨年アメリカ合衆国保健福祉省と農務省に対し、フロスの効能についての根拠を示すよう求めていました。すると、今年初めて食事に関するガイドラインからフロスを奨励する項目が削除されたのです。政府はAPに対し、「フロスの効能に関してこれまで科学的な研究が行われてこなかった事実を確認した」と削除の理由を説明しています。来年には20億円にも達すると予想されているデンタルフロス市場。その半分を占めるアメリカにとって、これはなかなか衝撃的な発表のはずです。
さらにAPがこれまでに発表されたフロスの効能に関する25の論文を調査した結果、研究のなかには根拠が不十分かつ極めて不明確なものがあり、多かれ少なかれバイアスがかかっている可能性もあることがあきらかになっています。APのライターJeff Donn氏は以下のように述べています。
“ 歯周病やインプラントの専門家が集まるアメリカ歯科医師会とアメリカ歯周病学会は、いくつかの研究を例に挙げてフロスが歯垢の蓄積を抑え、歯肉炎や虫歯を防いでくれると主張しています。しかし、ほとんどの研究は時代遅れな方法で実験を行っており、被験者も少ないものでした。なかには被験者の観察をたった2週間しか行っていない研究もありました。当然2週間は虫歯や歯茎の病気が進行するのに十分な期間とはいえません。ほかには25人の被験者が一度だけフロスを使った後に調査を実施したケースもありました。また、こうした研究は歯茎の出血や炎症にフォーカスしており、歯茎の病気や虫歯についてはほとんど触れていません。
歯周病学会会長のWayne Aldredge氏は科学的根拠が乏しく、調査期間が短すぎる研究が多いことは認めた一方で、ひきつづき患者にはフロスの使用を奨励したいと言います。「(フロスをしないことは)家を建てておきながら、両側面の壁の色を塗らないようなものです。そうするとその二つの面は通常よりも早くボロボロになってしまいますよね。」 ”
また、Aldredge氏はフロスを正しく行っている人が少ないことを指摘し、前後だけでなく上下にも動かすことをすすめています。
フロスを放り投げるのはまだ早いかもしれませんが、科学的な根拠が圧倒的に不足していることは確かなようです。アメリカ国立衛生研究所はAPの取材に対して、今後フロスに関するガイドラインを削除する必要がでてくることはあり得るが、あくまでもより厳しい研究がなされてからだとコメント。フロスは「ローリスク、ローコスト」であり「効果があると証明される可能性もある」ので、これからも続けてほしいとのことです。

2016年8月15日 ギズモード・ジャパン より

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